リリース!

ito_kei2009-10-05

土曜は以前から入院リハビリしていたキジバトきょうだいをリリースしてきました。


多分孵化してさほど日数がたっていなかったと思われる、キジバトのヒナのきょうだいでした。
「ハトのヒナは難しい」
そういう話を聞いていて、確かに職場では過去の事例を見ると一件も成功例はありません。
これ以前に一羽同じくらいのヒナが来たときも、前日までは元気だったのに翌朝死亡していたことがありました。


普通の「鳥のヒナ」と違い、口を開けて餌を要求することはありません。
親鳥のそのうから出るミルク状のものを親鳥の口に顔を突っ込み、飲むという習性です。
(なので、親鳥のえさ条件が良ければ年中繁殖ができるわけです。虫を探したりする必要がないので)
ピーピーと鳴くものの、口をあけるわけではなく甘えるだけのように見えます。
そして、言われるのが際限なく欲しがるということ。
そのうがパンパンになってなお甘えて要求します。
前回のえさがそのうに残っていて、それが消化しきれていなくても、甘え要求します。
結果そのうの中で腐敗してしまったりします。
小さなヒナでも、一日数回のえさで十分なのです(4回程度)
でも、要求するのであんばいがとても分かりにくい。
もちろん持ってるエネルギーがないから、エネルギー不足に耐えられるほど体力もありません。
普通のヒナならお腹一杯ならもう口を開けたりはしないのに、こちらが調節しなければなりません。


ハトはとにかく難しい
突然まえぶれもなく死んでしまうときがある
体重が増えず、結局うまくいかなかった
そんな話をほかの動物病院の先生方とも話していた矢先でした。



そんなこんなで、試行錯誤、いろいろな救護関係の本を読んだり聞いたり
毎朝死んでいるのではないか…とドキドキでした。
餌もいろんなものをふやかして混ぜたり、少しずつ自力でつつくようにしむけたり
そのうがパンパンすぎるとそれはそれで消化が進んでいないのでは…と気になるし
本当に気の抜けない日々でした。


自分でえさを食べ飛べるようになったのはいいけど、今度はまさに手乗りバト状態。
甘えて肩や頭に乗ってくる始末…
これでは野生動物じゃない、ペット。
リリースしても、まっすぐ人に向かっていくでしょう…
無事育てても、人慣れをさせたら「成功」とは言えません。
この状態から人との距離を保てるようになるのか?里親譲渡を考えた方が得策なんじゃないの?
正直かなりあきらめていました。


何か仰天させたり、人に対し甘えてこない方法を考えよう!
他の通ってくれている方々のアイデアや努力のおかげで、少しずつ距離ができました。
いつもと違う格好で世話したり、驚かせたり、甘えてきたら水掛けて嫌がらせたり、いろいろしました。
まさに変装に近く絶対他の人に見られたくないな〜というようなことも(かぶりものとかその辺)
努力のかいあって人の姿を見ても甘えてくることもなくなり、逆に逃げるようになりました。
これならOK!と判断出来ました。


そしていよいよリリース!
天気の具合も見て、決行しました。
(今週はしばらく雨になりそうだったので、やや強行)
救護地点からさほど離れていない河川敷にリリースしました。
勢いよく二羽とも飛んで行きました。
もう人に向かって甘えてくることはありません。
いとも簡単にあっけなく済みます。それが一番です。
ほっとする瞬間。


難しいと言われるハトをなんとか二羽とも無事リリースまで持って行けました。
職場初!
(実はこの前にも二羽きょうだいバトがいて育てたのですが、育ってみたらドバトでした…)
激しい人慣れからの脱却やヒナからの経過、
たった二羽、生態系に何にも影響はないでしょう。
もって数日かもしれません。
それでもこちらが得られた記録や経験はかなり大きいです。



キジバトたちには感謝です。
うまく生きていけますように。