ito_kei2010-02-06


相変わらずムササビの話題です。
もう職場で過ごすのもすっかり慣れて、朝から外に出し、夕方室内に戻す生活です。
雪でも雨でも外のケージの巣箱で寝ています。
いつどういうタイミングで外で夜も過ごさせようか…


ちょっと前に「こういう本があるよ」といつもお世話になっている神奈川の先生(ムササビ育てのプロです)に聞きました。


ムーチョン兵衛 山に帰る

ムーチョン兵衛 山に帰る


なんと20年以上前!(これは再版なので93年です)
そして
本を注文するときに、たまたま見つけたサイト

http://homepage3.nifty.com/manji/

なんとここでも人工哺乳をしたうえで、ちゃんと野生にかえっています。
確実に自活し野生として生活していけているだろう、と思える経過です。
(リリースしたはいいけど経過がおえてないというのは、救護では往々にしてある問題)


二件とも同じように、いわゆる「ソフトリリース」という形をとっています。
思っている以上にムササビってうまく人に頼りつつ、そして案外ちゃんと自立するものなのですね。
なんとも正直うらやましいです。
野生だからなんだと強く意識するわけでもなく、ごく普通にお世話をしてもちゃんと出来るものです。


もう最後のお別れのシーンとか号泣してしまいました。
どこで知らないうちに、きっともういない(年月的にも)と思うとなんとも言えない気持ちになります。
それが野生ということにほかなりませんが。


自分が世話をしている個体もそういう日が来て、でも、救護場所はちょっと離れているところ
ソフトリリースではなく、決めた日に放り出すしかありません。
少しずつ行き来して…ということはできない。
もしも、もしもと思うと不安にもなります。


いつの間にかただの世話だと思いつつ、私は彼を愛しているんだなと実感します。
「野生動物としての幸せ」を願いつつ、さみしさも感じてしまいます。
もちろんペットとして愛でたいわけでもないですし、愛の表現はなでてかわいがることだけではありません。
愛しているからこそ突き放し、立派にやっていけるように厳しくしなければなりません。
わかっていつつ、胸の締め付けられる思いを感じる瞬間でもあります。
ちゃんと割り切らないといけないとわかってはいます。


一頭程度生態系には何も変化はありません。
人工保育なんて効率悪いったらありません。
「なんで自分ばっかり世話しなきゃいけないんだ!」と思ったこともありましたが
いろいろな感情、わかったこと、こんな思いを抱くんだということ
やってみなきゃ分かりません。
やってみたからこそわかったこと。
彼が身をもって教えてくれています。


ちゃんとリリース出来たら、大きな自信になる気もする。
「諸先輩方」の記録を見つつ、勇気をもらっています。


写真は最初のころに使ってた箱。今はもう入りません。入れません。