http://www.asahi.com/national/update/0130/SEB201001300003.html


こんな私のブログでさえも「鷹」「鷹匠」「鷹の買い方」などで検索されてきている方も結構いるようです。
今までそんなに目立っていませんでした。なのに、急にそういうワードで来ているということは影響に他ならないと感じています。
私は新聞記事しか読んでいません。先日テレビでどう放映されたかは分かりませんし、新聞報道も実情は違うかもしれません。でも、あくまで一視聴したものが受けた感想であることは間違いないので、そのあたりを踏まえていただけたら、と思います。


全体的に浅いです。すごく。安易とも言いましょうか。彼女がと言うよりも記事が…というか。
この彼女がどうなのかは、私は面識はありません。
もしかしてものすごくいろいろ考えている上かもしれませんが、現状そこまで掘り下げるには記事は至っていません。
親にねだって簡単に猛禽が手に入ってしまうような簡単さ。
独学であると強調してしまう「頑張れば誰にでもできる」みたいな感じ。咬みつかれて「ほら、怖くない」みたいな某アニメ映画じゃあるまいし。
「鷹を飛ばせば被害防除になる、殺さずに済む」という安易さ。



鷹って言ってもだって、言わば外来種です。現状国内種の飼育はできないわけで。
この個体が万が一そのまま飛んで行ってしまったら…
ハリスホークはまだ外見上分かりますが、これが国内にもいるような種類(オオタカハヤブサ)だったら、そのまま逃げて「きっとたくましくやってくれるさ」では困るわけです。
国産種と交雑したら、遺伝子汚染です。見た目に分かる日にはとうに手遅れでしょう。
もうすでにそういう可能性はかなりあると思いますが…
海外ブリードで、もしなんらかのウイルスなどを持っていたり、そういうのがあったら。
責任をもてるのでしょうか。
「きっとたくましくやってた」ら、その個体が日々生きるために捕る獲物はどうなんでしょうか。
私がいる施設でも、怪しい(飼育の可能性が高い・または足環ついてる)個体が来たことはあります。
全国的に見たら、もしかすると結構な数に及んでいる可能性もあります。



猛禽を使った被害防除は海外でも行われていますが、それを同じく日本でもできるかというと、まだ未知数なところって多い気がします。
かなり慎重にやっていかないと、そんな簡単に目先に被害が無くなったらOKってわけにはいかないでしょう。
それこそ別の場所に移動して別の場所で被害があったり、目先には殺生せずに済んだようで、見えてないところで飢え死んでいることだって多いにあるでしょう。目の前じゃないならいいというならそれまでです。
きちんと効果のほどや持続性(?)の検証をないうちにタカを飛ばしたら逃げてっただけでは…(空港のバードストライクはその場限りでもいいでしょうが)
このあたりも、猛禽飼育に関して何の規制もないところが多いに問題なのでしょう。
本人が飛ばせるって言ったら飛ばせちゃう。
有害駆除とかは猟銃免許や捕獲許可とかあれこれ必要なのに、「飛ばせます」自己申請のみ。


なんだか話題性を求めて被害防除のために(と称して)彼女を呼ぶなら間違いです。
「じゃあうちも飼ってトレーニングして世間のお役に立てようじゃないか!」なんて思ってしまう人だって出るんじゃないでしょうかね。
その人は良かれと思ってやってみたり、野生動物が好きでなんとかしたくてと思ってやるのかもしれません。
そんな簡単な人がいっぱい出てきてにわかだらけになったら、ぞっとします。
実際すでにそれに近いものはあるのでしょうが…彼女も言ってしまえば「流派を持たず独学でトレーニングをして、環境保全に貢献している若者」と言ってしまえばそうなわけで。
(流派の方に教えはこうたようではありますが、この記事のままでは伝わっていません)


先日のセミナーの影響も大きいですが、逃げだす可能性が十分にあって、野生由来(海外で野生捕獲であれば)の猛禽を簡単に飼うという概念をもっちゃ本当はいけないでしょうし、それをこんな風に良い面ばかり強調してしまうのもまずいです。
生態系守りたくて別のところから野生動物とっ捕まえてそこの生態系どうなのよって話です。
ハリスホークは飼育繁殖でしょうが、そうじゃない種だってわんさといますし、それを助長している裏がでかすぎです。
個体の福祉(適切な飼育方法も知らずに飼って死なせる)ことだけじゃなくて、生態系だったりの視点があんまりにもなくて(一個体野生捕獲を輸入するまでの莫大な犠牲とか、こういう安易な報道でさらに安易に飼育を始める人が出て、さらに野生捕獲が増えて、圧力がかかりすぎる)むしろちょっと憤りに近いものがあります。



ちゃんと考える人は考えるし、安易な人はどこまでも安易かもしれませんけど
もてはやすように報道しちゃうってのもほんと危ないなと思います。



別のブログでも割と厳しい意見を述べている方を見かけますが、本当、もし検索で来るような方がいましたら
飼おうとするのは、やめていただきたい。
そんな簡単なもんじゃない。
もしそれでも!どうしても!飼いたいんだー!!!!と思うのであれば、死ぬほど勉強して、自分の時間ほとんどを削って
周りを納得させるだけのものを持っていただきたいです。
オオタカハヤブサも思っている以上に身近にいたりします。気がついていないだけです。


私もいつか猛禽は飼育したいと思っています。
レーニングスキルや、日々のケア、「野生に返すもの」として接するのと「自分が生涯かけて面倒をみるべきもの」では心の持ちようもかなり変わると思うので
一連まとめて、言ってしまえば技術向上のために飼いたいと思っています。
もちろんまだまだ先です。設備も知識もすべて、揃ってませんので。
最終的に飼わないという結論になるかもしれません。
まだそれはわかりません。



辛辣な意見かもしれませんが、正直そう思います。
猛禽が一気にバカ売れしたり、セールで売られたり、そんなお粗末な事態が起こらないよう祈る(祈るだけじゃだめだけど)ばかりです。