ふがいない夜

今日は午後は院長不在の為一人で診療・待機していました。


予約制のありがたいところ、先に用意もできる訳です。ワクチンや狂犬病は出来るし
他の場合も、電話でまず状況がだいたい把握できる。
嘔吐だったり、下痢ですって言っても危険な状態のものもあれば、対処療法的なもので済むものもあり
自分の手に負えなさそうなものは基本的に無理せず、です。
尿道閉塞などで時間が問われるものなどはとにかくすぐに病院に行ってください!ということもある。
手探りで自分でやっているよりも、命がかかってしまうから。



なので一人でもなんとか今までもなっていました。



今日は突然の飛び込みで
今交通事故にあってしまって…!
という子が。


すでにその時点で心停止
瞳孔も開ききっている
心マッサージを続けてみるも結構厳しい。
血管確保も心停止している状態では切皮でもしないと、しても入らないかもしれない
一人ではどうしても手が足りない


このままでは時間がどんどんすぎてしまうだけだ
このままでは戻るものも戻らなくなってしまう
絶対的に経験も知識も何もかも足りない
割と近いところにある大きめの病院に連絡とって、すぐに移動してもらいました。



ワクチンでのアナフィラキシーを起こした場合などに備えて緊急措置は覚えてるけど
こういうときはてきぱき動けないもの



ボスミンでも打ってみるべきだったかもしれなし(ショックなどによる心停止の場合使うときがあります)
もっと何かできたんじゃないか
やり方によっては戻ってきたかもしれない命だったのに
私の技術によって戻ってこれなかったかもしれない


搬送先の病院の電話がつながらなくてその後の状態を聞けずにいたけど
出来れば、出来れば戻ってきててほしい。
(電話で状況伝えた時点では「死亡確認しかできないかもしれません」とは言われていましたが…)


飼い主さんはすごく動揺していた
当たり前
「ここ病院じゃないの?なんで助けてくれないの?」
そう思ったかもしれない
急いでいてワンコの名前さえ聞いていなかった。
何もかもが突然のこと、飼い主さんの方がずっとずっとショックだろう



もう少し色々私が出来たら戻ってきたかもしれない命なのに
これから沢山助ければいいって言うのは簡単だけど
これからいくつの命をたとえ助けても
あの子自身は1匹しかいない
やり直しなんてさせてはくれない


自分の出来ることはわずかだけど
ふがいない夜