コノハズクもばっちり


奄美に入ってその日の夜、やっぱりさっそく夜の山へ。


昼間にすでに自分の「生き物を探す目」が全然鈍っていることを痛感していたので
夜もかなり自信がない。
ただでさえうっそうとした林道で、ヘビやカエルを見つけられるか?
そうやすやすと生き物は出てくるわけないだろうに。連休で人も多いだろうし。
なんて思ってたのに、いろいろ出てくれました。


山に挨拶して入ってすぐくらいに、立派なサイズのハブ。
2m近いサイズでした。
ゆっくりと移動していく姿をじっくり観察。
ハブは山に入ってもなかなか見えなかったりします。
これまでの滞在でも数回しか見ていない。なのにいきなり出てきちゃうとは。



しかもそのあともう一個体出てきました。
電柱の横でとぐろを巻いてじっとしている。
我ながらよく気がついたなあ、なんて(このあともしみじみ思いますが)
道路横断中だとわかりやすいかもしれないけど、こうしてじっとされていると気づかないだろうに。
こちらの個体も立派な2m近いサイズ。


どちらの個体も模様も非常にきれいでした。
これだけの立派な個体が生きている森、生態系の上位者。
何回「すっげえ〜…」と言ったことか。



そのあとは前日の日記に載せちゃいましたがクロウサギ、4個体。
幼獣がこれまたなかなか逃げずにうろうろしていたので、こちらもじっくりみえちゃいました。
しかしウサギはヘビ以上に自己発見率が低かった…
「ほらいたいた!」と言われてなお見えてない私。
本当に林道ど真ん中にいても、気がつかないもんです。
恐ろしいほどの鈍りっぷり…



林道に入る前にガイドなおし兄が「樹上にいるケナガネズミってどんな感じなのか見てみたい。やっぱりちゃんとわかるものなのか、あんなでかい生き物がいて気がつかないものなのかな」とずっと言ってたので、樹上も念いりに探してました。
とはいえ難しい。
林道行き止まりまで行って引き返しの道でも「ケナガ〜ケナガ〜」と言いつつ進む。
そうしたら、二個体目のハブとおなじで通った瞬間に目の端に生き物が写りこむような、その瞬間で「ネズミ!」と反射的に回路がつながるような。
低い木の上にケナガネズミはいました。


「いたいたっ!ねずみ、ねずみ!!」「え、どこどこ!?」「うえうえうえ!ケナガケナガ!まだいる、まだいる!」
もう二人してあわてるというか、騒然。
頭の中で本当に出た!ライトが、カメラが、目をそらしたらいなくなるかも、といろいろなことがいっぺんに駆け巡って
むしろそんなわれわれのあわてる声にならない声にケナガがぴくぴくと反応している感じ。
反応しているのに、逃げない。
とことこと木を登ったり、戻ったり(彼なりにうろたえてたのでしょうが…)
むしろストロボが強すぎてうまく撮れないくらい。



車をそっとおりて、首が痛くなるほどながめました。
(車降りたときもカメラとライトと双眼鏡を抱えて全く身動きの取れなかった私)


かなり細い木を登って行ってもほとんどものおとなんてしない。
葉の中に入ってしまうともう全然わからない。
30センチ近い大きなネズミなのに、真上にいるとわかっていてもかさかさと揺れる感じすらわからない。
…これは木の上にいられたらまず見つけられないな。
今までもきっとこうして知らずに見逃していたのだろうな。
実感でした。


樹上の葉の中にまだいるとわかっているけど、もうすでにじっくり見ちゃって、首も限界で
そっとその場から去りました。


ハブといい、ケナガネズミといい、えらい!自分!でした。
もちろん的確に車を止めてくれたりライトをあててくれたなおし兄のおかげであります(宣伝も兼ねて)
もうお宿に着くまで二人して「見ちゃったよ…マジでいちゃったよ」と呆然とし続けておりました。



もうこの時点で「明日帰っちゃってもいいんじゃない!?」なんて言えちゃう余裕っぷり。
でもまだまだなのでした。
もちろんこの晩は深夜(むしろ夜明け)にも関わらず祝杯、発泡酒じゃなくってビールで!でした。
この一日で1Gのメモリをほとんど使い切っておりました。