難しいなあ〜

傷病鳥獣のいる施設ですから、おのずとリリースできない動物も多少は抱えることになります。
一般飼養ができるような種類であれば、終生飼養ボランティアを募集して譲渡
一般飼養がちょっと難しいけど、ちょっと珍しい、そういう場合も動物園などに譲渡する場合もあります。
一般飼育は無理だし、譲渡も現状難しいところがあったり、そういう動物もいます。
最たるものは猛禽(設備がある程度必要、知識や技術も必要、餌代などコストもかかる、危険)


今まではまあ、復帰もできないし、しょうがないから飼うという感覚に近いところ。
教育目的という付加価値をつけつつも、ケージに収容してそれをそのまま見せるというところ。
何かハンドリングしないといけないときは大暴れ、大仕事です。
実際ショック死してしまったこともありますし
私自身、「麻酔かければいい」と思っていて、死なせてしまったこともあります(麻酔量が多かったか、過剰なストレスか、複合か…不明)


最近はそれから一歩進んで、人慣れ(馴化)をもう少しさせた方がいいんじゃないかという動きになりました。
双方のストレス軽減のため、より正確な飼養管理のため、
あとは人前でも大暴れしないでお見せできるためでもあります。
リリースできないのだから、より双方苦痛ない方がいい。
見学や実習もままありますし、救護って次の来るかもしれない個体を防いだり、生態系や生物多様性に目を向けさせる一つの手段
言い方はとてもよくないですが、リリースのできない飼育個体はそのための「手段」「道具」になります。


だから、より「使いやすい道具」としての馴化であって、かわいがるための馴化ではありません。
暴れちゃうし、ストレスだからお見せできませんじゃあ生きている意味がなくなるばかり。
見学の方が来たときに見せられて「お〜すごいなー!」て思ってほしい。
それで「こんなすごい鳥だって、日本にいるし、ちょっと気をつけたらその辺にだって割といるんですよ」って気がついてほしい。
彼らが救護される原因が人の影響がとても多いことに気がついてほしい。
彼らが生きるためにどれだけの餌が必要となるか、ちょっとした怪我がちょっとしたバランスの悪さがそれだけで野生に生きるにはアウトになってしまう。
そんな現状を知ってほしい、次に救護されるような生き物を生まないように意識してほしい。



そういうための馴化ではありますが、一歩間違うと
「お〜すごい!」から
「かっこいい!うちでも飼いたい!」とか「救護施設だからってずるい!いいな!うらやましい!」
という方向になってしまう可能性がとてもあります。
(最悪盗難ということも考えられるそうな…見方変えればそういう動物ですので…)
というか、やっぱり自分でもどこかそういう感情はあるように思います。
否定できない感情ではあるけど、それを堂々と見せてはいけない場所ではあります。
むしろあえてでも違う面を強調しないといけないと思っています。



安易な飼育を助長するようであってはいけないし
もっと行くと救護個体という名目で飼うという思惑を助長してもいけないと思います。
これはほんと重要。


その辺はどうすべきか、
「目的が違うんです!」というのをどうしたら強調できて、もっというと「好きで馴化させて飼ってるんじゃないよ!」と思わせるかどうか。
だって救護されるような状況はない方がいいんだから。
この先何十も世話出来るわけはないですから。





似ているようで違うようで、たどる道は同じだけど違うようで同じで
(やり方は同じ、飼う場所と目的が違う)
こればかりは説明次第なのかもしれませんが、とっても難しいです。
まずはやる人がきちんと認識していないと、「どうだ!いいでしょお〜?」って自慢になってしまう危険ってとてもあるような気がしてきました。