以前の事故の経験

もう一年半くらい前のこと
終生飼養していた鳥をハンドリングしようとして、死なせてしまったことがあります。
すべて私のせいです。


ケージを移動させたい、爪を切ったり、嘴を少し切ったり、あとは救護原因が骨折で、それから数年しているけど今はどんな風になってるんだろう、レントゲンを撮ってみたい!せっかくだから血液サンプルも欲しい!
もろもろまとめて行うために、麻酔をかけてしまおうということになりました。
当時はまだ捕獲に対する自信もなくて、ただ正直怖かった。麻酔かけちゃった方がいいやと簡単に思っていました。
やってみたことないからやってみたい!単純にそんな好奇心みたいなものも含めて。


ハンドリング自体もその個体に関しては一年ぶりくらい(らしかった)
外のケージでただただ飼っていたため、そして見れば暴れるからほとんど「普通」が分かっていないところがありました。
食欲もあるし、特に問題はなさそう。
それまでのカルテを見て、多分体重もこんくらいだろう
搬入当初に麻酔処置がされているから、麻酔がかかりにくいとかそういう特異的トラブルはなさそうだ


当時は鳥の臨床手技も良くわかっていなかった(今でもですけど)分かっているようなふりをしてただけ。
注射による麻酔をするのが当たり前だった。
何の疑問も持たなかった。
教科書的に(と言ってもばらつきが激しすぎてかなりあいまい)量を用意して、捕まえて、すぐにぶすっと打ちました。
とにかく麻酔かけるんだから、健康上問題ないし大丈夫でしょ。すぐ打ってしまって、早く効いて!麻酔なしなんて危ないし怖い!そんな感じでした。



何となく呼吸が浅いな分かりにくいなと思いつつ、まさかそんなに強い量打っていないはずだし、だって麻酔でしょ?
そんな風にしか思っていませんでした。
気がついたときには呼吸停止をしていて、すでに蘇生も間に合わず、死亡していました。


今となってわかるのは
捕獲による強い興奮、体温上昇、肥満で脂肪による圧迫と麻酔分布、麻酔量ももしかして間違えていた可能性もあります。
とても安易に考えて、大丈夫だろうと思っていた自分をとても後悔しました。
死ななくてよかったのに、自分のミスでしかない。



それから、より早い捕獲と負担の少ない保定を心がけること、それだけでもずいぶん違うことを知りました。
たったそれだけの保定手技すらあやしかった
本読めばたくさんそんなことは書いてある
ちゃんと落ち付いてやればよかったのに。
必要であれば麻酔もかけてしまった方が得策。だけど、鳥に対して注射の麻酔はもうあまり推奨されていないということ
外部の先生方にたくさん聞きました。
全員が全員注射麻酔をしていないわけではなかったけど、「だって注射なんて怖くない?」と当たり前の返事だった。
何の疑問ももたずに使っていた自分を恥じた。
推奨されないなんてことはたくさん書いてあるのに、見えていなかった。
呼吸がおかしかろうと、脈拍が少なくなりすぎようと、打ってしまった注射はもとには戻らない。



救護鳥なんて、すでに衰弱しているからなんらか問題あっても「しょうがないか」で終わってしまう
終生飼養で健康で飼養上問題ないはずだった鳥を事故で死なせてしまってから気がついた。
ちゃんと知っていれば防げることももっともっとたくさんある。
そんな当たり前のことを死なせてから気がついた。
より新しい技術を知ろうとしないことがこんなに安易で危ないことと知らされた。
ちゃんと知ろうと、同じことしちゃいけないと思わされた。


漫然と狭い外ケージで飼育され、春夏秋冬ずっと外
見れば暴れるし、扱いにくいし
餌を投げ入れるだけ
何のために生きているんだろうとさえ思えるくらいだったのに、死を持って教えられた。




最近そんなことを思い出します。