ito_kei2010-04-23


せっかくなので、さらに別のタヌキ事情


困ったタヌキと同じような時期に来ていたタヌキですが、4月に入って無事リリースされました。
今までで最も「イケメンだ!」と思っていたタヌキ。


秋口に搬入されたときは体格もがっしりしっかり、毛もふさふさ
顔の隈どりもはっきりしていていい顔してました。
この時期に来るのは疥癬(皮膚病)のへろへろ個体ばかりですが、まさにタヌキ!たる風貌でした。
ただし骨盤骨折の上そのまま這いずったようで皮膚が広範囲にずるむけてましたけど…(交通事故)


(搬入頃の写真ではないです、血まみれ過ぎていただけない写真ばかり&皮膚の様子が相当グロいのでいい写真がありません)


搬入されたときは段ボールも血まみれ、救護地点も血だまりが出来ていたとか。
睨まれつつも無抵抗。
ど貧血で採血もまともにできず、点滴も一苦労しました(おかげで「こういう状態のときはこうする」とか、勉強になりました)
麻酔さめないかと思うほど状態悪。
数日間点滴をしたころに貧血が少し改善したのか、急に怒り狂うタヌキに変貌しました。

点滴ラインなんてあっという間に咬みちぎり、怒り収まらず自分の足を咬みつく始末。
ドレーン(皮膚の下に液体がたまらないためにチューブを皮膚にさしていました)もあっという間に引き抜いてしまった。


そのあとはずるむけた皮膚との戦いな日々でしたが
これも、ただやみくもに縫えばいいってわけじゃなかった(当たり前ですけど)
縫っては開いてしまっての繰り返しだったけど、やり方変えたら見る見るうちにひっついた。
(かっこよく書いてますけど、へたに傷口消毒しないで洗浄するだけ、ただ皮膚同士をひっつけてより合わせればいいわけじゃなくて「きれいに」縫えばいいだけです。
多分に臨床的常識
でもそんなこともよくわかってなかったわけです。
ただし、毎日洗浄も様子も見させてくれない相手だとすべてがこれで出来るわけではありません。
安静に!なんて聞いてくれませんし。)
たかが傷の治療、されど。すごく学ぶものは多かったです。



骨盤骨折は結局無処置安静でした。
普通の足の骨折とかとは違う難しい部位、やり方も分かってない、状態も悪いで手が出せず
ひどくずれずに着くといいけど、と祈るような感じでした。
(最終的には直腸が少し狭くなってしまいました。もしメスだったら難産になるかもしれません。
オスで、排便も出来ていたので許容としました)


最終リハビリで外のケージに出した日は足取りもおぼつかなかったけど、数日で歩行もしっかり。
これならOK!
下手に逃げようとして怪我されるより、早めに出しました。



無事リリースの日も走り去って行ったそうです(立ち会えず…)


疥癬にもかからず、人をあくまで許容せず(朝餌あげても夜中まで一切食べないとか)
きっと強いタヌキなんでしょう。
もう交通事故にあったりせず、強くたくましくやってもらいたいものです。