救護の大きなところって、死んだ個体から得るものがかなりを占めている気がします。


救護されてきた動物の6割以上、リリースできずに死亡します。
死んだ個体はどうするか。
研究だったり原因を調べたりと活かされます。
感染症モニタリングだったり、普及啓発だったり。
治療の場というより、啓蒙普及(再発防止ももちろん)の方がウェイトが重いように思っているのは個人的な考えなのでしょうが
啓蒙普及の場で、その為とも言える動物がたくさんやってくる。
それをもっともっと活用しない手はない!と常々思っています。
とはいえ、現実問題そうやって死後活用されているものはとても少ない。
そう感じています。
使わなければ、冷凍庫にたまるだけです。
たまりすぎれば、廃棄されてしまいます。
死後活用しているという言葉も、やらなければそう説明をする度にちくちくと感じるのは自分の心。



骨格標本に至っては全身は作ったことはありません。
在学中マングース頭骨とクロウサギ頭骨、ルリカケス頭骨(だったかしら)を趣味で作っただけです(マングースは今も部屋にあります。他は奄美に置いてきました)
職場にいくつか全身はあるけど、自分が来てから増える気配はない、そんなに積極的に標本化をしていないように感じてきました。
じゃあ自分がどんどん作るしかありません。
全身骨格もやってみなければいつまでもできることはありません。


9月頃に「もっとやるぞ!」と改めて意気込んで(それまでは作ったりしていいのかな?的遠慮がありました)
10月頃に作ったものです。


ジュウイチの頭骨です。
結局放りっぱなしだったので大した苦労もせず出来ました。一か月くらいかかったか(かかったというか…)


この個体は死亡した後病理というほどではありませんが解剖して(解剖すると肋骨を切ってしまうので、全身骨格は出来なくなります)頭はこうなりました。
先日翼部分を仮剥製にしました。
残す部分はほとんどありません。
尾羽もきれいなので取っておいてあります。



これはカワセミの頭骨


これは病理解剖を行ったので、脳を取りだしているので後頭部がありません。
でも「もの」としてあった方が伝わるものは絶対に多い。
計測などとかはこれではできない部分が多いですが、せっかくだから作りました。
この個体はさらに羽も一枚一枚ラミネートされて残されています。


これくらい余すとこ少なく活用できると何よりと思うんだけどもなあ…


写真で説明しても、経過を伝えても、やっぱり実際のものを手に取った方が伝わるはず。
カワセミってこんなに小さいんだ」とか、「羽はこういう風になっているんだ」とか
その上で救護さえれた経過を伝えた方がきっと響く。


治療もするし、世話もするけど、そういう部分もどんどん手を出すようでいたい。



死亡した個体は
病理解剖
骨格標本
仮剥製
羽標本
あたりが「死後活用」の大きなところと思っています。
DNAだったり、感染症関係はまた別として。
そのまま、というのもひとつの標本とも言えるかもしれません(=冷凍庫のまま)


でも全部が全部こういう活用をされているわけではありません。
本当にこれはもったいないこと。
何かしら形に残せれば。
そう思っています。


今は鳥の全身骨格作り中です。
見よう見まね…ちゃんと出来るんだろうか??



せっかく啓蒙普及の「教材」がこんなにあるんだから、もっともっと活用しなければ!