ito_kei2009-08-06


5月に初めて鳥の骨折整復に挑みました。
4月にタヌキの骨折整復に挑み、無事リリースはできましたが(以前日記)
今回はやっぱり難しい、なかなかバランス良くは行きませんでした。


それでも、たぶん今までだったら「鳥の骨折」というだけであきらめモードに入りがちだった職場
トライも何もしなかったりした。
今回もまた、ちょっとそういう雰囲気の中、あくまでも私の練習として一人でいじるに至った。
何もしないなんてもったいない。
そうじゃないと次に進められない。

レントゲンで見た以上に、骨折している場所は容易ではなくて
上腕骨折、肩関節にとても近いところが折れていたため、ピンを入れても全然支持力が持てない。
筋肉硬縮もあってまっすぐにするのになかりの力がいる。
組織の損傷も激しい。
細かい骨のかけらもたくさんあって、長さも足りない。


それでもピンを入れて、なるべくまっすぐにして、固定して
一か月もしたころ、いよいよ一回飛ばしてみた。
アンバランスながらも室内数メートル直線的に飛んで、すたっととまったときは感動しました。
もっと転がるように落ちてしまうと予想してたら、飛べた…!


鳥におけるアンバランスな飛翔はその時点で野生としてはアウトになってしまう。
地道にトレーニングしたら、それも代償して行けるかもしれないけど、滑らかな動きは出来ない。
そして片目が見えていないことにも気がついてしまった(ひとがいるととても興奮するため、何かおかしい、と思いつつ確認しきれなかった)

片目でも生きている野鳥はいるそうだ。
それでも賭けに近い。
さらに翼のアンバランス、渡りなどは到底無理そう。
ここまでダメ元でリリースをという選択は出来ない。


野生復帰できないと判断されたものをずっと飼育することもしないため、もうダメかなー…ここまでかな、と思っていましたが
移管されることになりました。受け入れ先がありました。
野生復帰は出来なくとも、野生動物について伝える大切な教育材料として生きてくれることになりました。
手続きが時間がかかるためにそう判断されて結構たってしまいましたが
やっと少し手続きにも動きが出てきました。


片目が見えていないけど、餌は問題なく食べています。
狩りなどはさすがに出来ないでしょうが、置き餌なら順調に食べています。
思っている以上にうまく飛んでいます。飼育下であれば、かなり問題なく飼養環境を強く制限しなくても良い感じ。


折れた骨が自然に戻ることはあのままならなかった。
それがまた(まかりなりとも)飛翔しているのを見ると、感慨深いものがあります。
こういう骨折で、こういう治療でほねもつながったということがひとつわかりました。
マッサージやリハビリや、たくさんのものを得ました。
やってみてよかった。
野生復帰目標としたら、こんなんじゃあダメだったという結果ではありますが
一方で、希少種であれば野生復帰できなくてもよりクオリティーの高い状態で飼養出来るようにしないといけないはず。そのためにも、まったく飛べないというよりも飼育下でもある程度クオリティーが保てる状態に持って行けたのは大進歩です。
ひとつ、大きな経験をさせてもらいました。


もうしばし移管には時間がかかりますが、それまできちんと面倒みたいと思っています。