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小難しい話ばかりですみませんけど…
入っている学会誌で某有名動物園でのデータが載っていました。
1998年から2002年の5年間での保護件数758件
うち死亡は440件(58%)
うち安楽殺は69件
うちの職場は去年度は救護件数130件。
はっきりした数字をきちんと見ていなかったけど、そのうち33%が死亡、29%が安楽殺としている。
(おととし2008年度は死亡31%安落殺20%)
いわばメインの仕事じゃなく片手間で行う救護業務と、メインで行っている施設と。
リリースの割合としては4割以下、多分、この辺は同じ。
結局頑張ったって助かんないよって言われたらそれまでだけど、
某動物園は5年間で400件近くは殺さずに、治療行為をしたってことではあるんだろう。
この件数が結果的に飼育動物への技術にもつながっているんじゃないかな…
確かおととしのデータとそれ以前のデータから
「最終的に死亡した率(おととしまでは安楽殺基準はなかったから)と、去年の死亡率+安楽殺率はほぼ同じ」となった。
つまり「不当な安楽死はさせてませんよ」ってこと。
納得はしてたけど、そのうちに、本当に死亡率は正しき死亡率なのかな…
実はなんとかなった例とか、そういうのって本当になかったんだろうか?
本当にどうにも避けられない死亡だったのかな
当時のことはカルテを見るだけでしか分からないけど、逆にそう考えるようになってきた。
というか「それはないでしょ…そりゃ死ぬよ」ってのはあった。
個体の福祉面とか、コスト面とか、効率の問題からも安楽殺自体すべて反対とは思っていません。
事実どうにもしてあげられない症例はいるし、そういう選択はないと福祉的にも問題ありだと思うこともあった。
でもどんどんさっさと楽にしてあげた方がいいんだよ、と言い聞かせるみたいなのもまた変な気がする。
それを言えるほどの経験を130件からしているのか。
何かトライしましたか?
さっさと「楽にして」あげて、次へつながる技術は得られましたか?
新しい知見は得られましたか?
他の施設では助かっている症例だけど、本当にそれは助からない症例でしたか?
次の世代を担う学生さんを納得できるほど説明できていますか?
しょうがない、って言いわけしてませんか?
ちょっとでもこの率が変わるべく努力してますか?
自分に問う。
正当な選択を本当にできていたのか、本当にやむなくの選択だったのか
法律上その選択のできない種に関して、楽にしてあげられないならよりよく生かすべくやらないといけないのに
そっちの技術は向上しないまま「本番」を迎えられるのかな。
突然トキやコウノトリでも搬入されたら、元通りにはならないけど早い処置が求められたら。
「こんなのいつもなら諦めちゃうからやったことない」なんて言えるのか。
ついでに言うなら、死亡率その後の標本活用率はどうだろう。
データにはしていないけど、私が入る前の標本はへたすると一年以上前の標本ばかりだった。数としても一年にひとけた数でしかないと思う。
2008年の後半から今まで、死亡後標本活用率は90%位はできていると思う。
忙しいからできなかった?
病理解剖を終わったからしなくていいと思ったから?
この差は何だ。
過去のデータを正当だと思いたくない、こんなもんだろって思いたくない。
もっときっと良くなれる、良くできる。
そう思ってないと並行のままじゃ進歩してないってことでしょ。
今年度に入って6件搬入
安1、リ2、死1、入院中2。
今まで通りの判断だったら安3だったところ、技術のためととごり押し2件
ごり押しした分、「やっぱりダメだったじゃん」と言われたくないしそう思いたくない
必死にやるから「へーそうか、そうなんだ」と気がつくことも増える。
新しい知見や技術はきっと、そういうひとつから増えると、思いたい。
私が翼を奪ったツバメは「どうしていっそ楽にしてくれないのか」と思うかも知れない。
これくらいの力加減で、こういった処置で、こうしてみる
いっそ早くに楽にしたら、わからなかったことはたくさん。
恨んでくれていいし、背中にたくさんもう乗ってるだろう。
それでもいいから、なんでもいい、教えておくれ。
そのひとつひとつが10年後、100年後、「あの頃はこんなことを言われてたけど…」なんてうんちくがきっと言える。
…と、思いたいなあ。